イカは周囲に合わせて皮膚の色を変えることでその身を守っているが、科学者らはそんなイカの性質を用いて周囲に合わせて色を変えられる迷彩服ができるのではないか、と現在も開発を続けている。
が、カリフォルニア大学アーバイン校の科学者らは、同じくイカからヒントを得た新たなアイディアを思いつき現在開発を進めているという。
貼り付ければ透明に?!カモフラージュ・テープ
まずはイカのカモフラージュ術について説明しておこう。
イカは皮膚内の虹色素胞によってその色を自由自在に変えることができる。虹色素胞にはリフレクチンと呼ばれるたんぱく質でつくられた血小板が含まれている。これらの血小板の厚みや間隔を調整することで皮膚が光を反射してあの虹色の輝きが発色される。
赤外線カメラの包囲網を潜り抜けろ!
カリフォルニア大学アーバイン校の科学者チームは、病原性大腸菌を用いてこのリフレクチン血小板を培養した。そしてタンパク質のフィルムでコーティングし、そのフィルムを酢酸蒸気にふれさせることで膨張させた。
その結果、フィルムでコーティングされた表面は赤外光を反射することが明らかになった。このテープを迷彩服に採用すれば赤外線カメラでも検知できなくなるため、迷彩服を着用した兵士たちを「透明人間化」することができる。
素材の反射輝度を高める、複数のテープを同じパターンで変化させる、などとまだまだ研究は続ける必要があるのだが、同チームは近い将来兵士たちが軽量のテープを持ち歩けば、赤外線カメラ網をかいくぐり敵の目を欺くことが可能だと考えており、またこのテープは廉価で製造できるため使い捨て利用ができると述べている。
研究開発が続けられこのカモフラージュ・テープ技術が実用化されれば、多くの兵士たちの命が救えるようになるだろう。ただこの技術が知れ渡ることになり敵も利用するということも考えられる。いつの時代も新たな技術が生み出されそれが盗用されイタチごっこが続くのだ。
だが、争い事に使うだけではなく、このテープが採用された服は着用者の体熱を保ったり外部へ逃がしたりすることもできるというから、ぜひそちらの方の研究開発を進めてもらいたいものだ。
参照元:gizmag