星野氏は19歳のときに購入したアラスカの写真集に魅せられて、翌年の夏、日本から何回も航空機を乗り継いで渡航し、はじめての狩りを経験。26歳ではアラスカ大学を受験。合格点に達しない書類と片道航空券を握り締めて同学長に直談判し、見事入学。
その後は、広大な大地と海に囲まれ正確に季節がめぐるアラスカで、その美しくも厳しい自然と動物たちの生き様を写真に撮る日々を過ごした。
星野道夫著『旅をする木』
その中で出会ったアラスカ先住民族の人々や開拓時代にやってきた白人たちの生と死が隣り合わせの生活の音や匂い、色までも静かでかつ味わい深い言葉で綴る33篇のエッセイ集。
「もう1つの時間」のエッセイでは、アラスカの氷河の上で野営をしているとき、空から降るような星空を眺めながら、友人と話している場面が描かれていました。
「これだけの星が毎晩東京で見られたらすごいだろうな・・・。夜遅く、仕事に疲れた会社帰り、ふと見上げると、手が届きそうなところに宇宙がある。1日の終わりに、どんな奴だって、何かを考えるだろうな」
筆者はこの本をケニアの片田舎に居るときに読了。広大で檻のないサファリパークに、心地よい太鼓の音色を聞きながら過ごす日々。
「風は見えないけれども、木の葉が揺れることで風があることがわかる」と不思議な格言みたいなことも現地の人に教えてもらいました。
『旅をする木』。不思議なタイトルで、木が旅するの?と筆者も思いましたが、読んでみたら納得。その場所に根ざしてこそ、みえる世界もあるものだと感じました。
新年度が始まって1ヶ月。GWも目前。本を片手に五感で痺れるような旅をしてみませんか?
参照元:旅をする木(Amazon)
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