サイコパスとは精神病質者のこと。一般の人とは大きく異る精神構造を持つ。オックスフォード大学のケヴィン・ダットン博士の研究によると、優秀な企業経営者の中にはこのサイコパス気質の人間がかなり多く含まれているという。一体どういう意味なのだろうか?
サイコパス=猟奇殺人者?
サイコパスと聞くと、快楽殺人者や猟奇殺人者を思い描く人も多いのではないだろうか。例えば米国の有名な連続殺人鬼 ジョン・ウェイン・ゲイシー(33人の男児を乱暴して殺害)のような人物だ。
たしかにジョンはサイコパスかもしれない。しかしサイコパスであること自体は、猟奇殺人者になるための必要十分条件というわけでは決して無いのだ。
ダットン博士によると、サイコパスである人間の脳とそうでない人の脳には物理的な大きな違いは見られないという。そして、我々と共に普通に生活している人の中にも、サイコパス気質を持つ人間は実はとても多く存在しているとのことだ。
サイコパステストの結果
世の中にはたくさんの心理テストがある。中には怪しげなものも含まれるが、学術的にきちんと裏付けされたテストの一つとして「サイコパス度合いテスト」というものが存在する。
2005年に行われた調査では、このサイコパス度テストに関して驚くべき結果が得られた。テストは企業のCEO、一般人、そして殺人犯を含む凶悪犯罪者に対して実施された。
テストの結果はこうだ。なんとこの三つの属性のうち、最もサイコパス度が高かったのは企業のCEO達だったのである。凶悪犯罪者も真っ青のサイコパスは社会的に地位が高い人達であったというわけだ。
サイコパスの特徴
ダットン博士によると、サイコパス度は以下の項目を測定することによって判定される。
1. 非情さ
2. 魅力
3. 一点集中力
4. 精神の強靭さ
5. 恐怖心の欠如
6. マインドフルネス
7. 行動力
なるほど、たしかにどれも企業経営者には必要そうな資質である。このサイコパス度が高い人というのは、重大な場面でも取り乱すことなく冷静であり、良心の呵責や罪悪感などとは無縁の人。
そして躊躇することなく自分の考えを行動に移すことのできる人ということになるだろう。(大胆なリストラ策など並の神経では実行できるはずがない!)
あなたの隣のサイコパス
サイコパスであることと犯罪者であることは同一ではない。それはよくお分かり頂けたことと思う。そして、人の内面には皆、少なからずサイコパス的な気質を備えているものなのだ。
ダットン博士の研究では、人間の脳の扁桃体と呼ばれる部分がサイコパス気質と深く関わっており、ここに電磁的な刺激を与えることによって、人間のサイコパス度を一時的に高めることもできるのだという。
サイコパス気質を人為的に弱め、科学的に犯罪者を更正させることはできるのか。また、サイコパス気質の中でも有益な部分だけを向上させ、人生に役立たせることはできるのか。博士の研究はこれからも続く。
参照元:東洋経済オンライン