網漁に使われる網ですが、古くなってしまったものや部分的にダメージのあるものは、海に廃棄されていたというのが現実です。
廃棄された漁網が海や海の生物に与える影響は想像を絶するものがあり、近年この問題の対処に取り組む団体が増えてきています。
海と海の生き物を救え!漁網をリサイクルしてつくったエコ製品が話題
海に捨てられた漁網にイルカやクジラがひっかかり溺れてしまったり、漁網が体の一部にひっかかったままの生き物は、徐々に漁網に体を締め付けられ、果てには感染症を引き起こし命を落としてしまうというケースもあるそうです。
漁業に携わる団体・関係者と共に現状を知り対策を立てることも重要ですが、すでに廃棄されている網はどうしたら良いのか。そこで登場したのがダイバーらが立ち上げた団体です。
例えば、Healthy Seasは、ダイバー、漁業関係者、NGO、政府、ローカルコミュニティ、そしてリサイクル企業などと協力し合って、海に廃棄された漁網を回収しています。
回収された漁網はリサイクル加工され、ナイロン糸といった「素材」へと生まれ変わります。そして、そのナイロン糸を利用して地球にやさしい衣類などの製品がつくられます。
リサイクル製品には、ビキニや、靴下、そしてカーペットも
Healthy Seasは、オランダ、ベルギー、イギリス、ギリシャ、イタリアのヨーロッパ5か国が参加しており、合計75名ものボランティア・ダイバーがなんと650艘もの漁船を使って漁網の回収を行い、2015年にはおよそ109トンもの漁網を回収しました。2013年の回収量はわずか20トンだったそうですが、同団体の働きかけで多くの関係者や企業が廃棄された漁網の危険性を認識し、実際に行動に移したことで回収量が5倍にも増えたそうです。
中でも注目すべき製品はビキニです。エコ衣類にはおしゃれを求めてはいけないようなイメージがあるのですが、Koru Swimwearはエコビキニとは思えないほどおしゃれで、トレンドをしっかり押さえています。ダイバーやサーファーが好んで着用するビキニと聞いて、なるほどとうなずけるクールなデザインのものが多く取り揃えられています。
自分が身に着けるものが、海に潜む危険な物体を取り除きリサイクルしてできたものと知ると嬉しくなりますよね。
イルカやクジラ、カメなどが致命的な重症を負ったり、最悪の場合は死に至る可能性もある廃棄漁網。今後は、全世界で廃棄されてしまった漁網がより多く回収され、そして漁業関係者や釣り愛好者に対して正しいメッセージが伝えられ、海の生き物の痛ましい姿を見ることなどない世界にしていきたいですね。