キャンプやアウトドアはもちろん、ちょっとダイハードな野外活動、そして災害時になんといってもまず必要なのは水。当然それは飲めなければならない。雑菌やバクテリアなどを可能な限り除去するのは必須だ。
まず知っておきたい太陽光は滅菌に有効である
安全な飲料水の確保するために必須なのがろ過装置である。しかし常に手身近にそのような設備が用意されているという保証はない。一般的に知られているのが、ペットボトルなどの透明な容器に水を入れて、太陽光にあてておくという方法。これは紫外線の効果によりバクテリアなどが殺菌されるというもの。ただしこれだと48時間ほどかかってしまうという難点もある。そこでアメリカ合衆国エネルギー省の研究所や米スタンフォード大学の科学者たちが、開発したのが、The rectangular device(改良型紫外線バクテリア殺菌ディバイス)である。
ちょうど郵便切手の半分ほどのサイズの真っ黒なガラスのような長方形をしたThe rectangular device。これを透明なボトルに水と一緒に入れて太陽光にあてるところまでは、冒頭で紹介したプロセスと同じ。だが驚くべきは、わずか20分で99.9%のバクテリアを除去できるという点である。この小さな黒い長方形の物体は硫化モリブデンの薄片で、表面は銅で覆われている。これにより紫外線があたることで光触媒反応が起こり、水が殺菌されるとのことだ。バクテリアが死滅し、きれいな水のみが残るということらしい。
ではなぜThe rectangular deviceではこんなにも時間が短縮できるのだろうか?実は紫外線自体では太陽のエネルギーの5%ほどしか活用されていないのだが、太陽光自体ではなんと50%ものエネルギーがあるのだ。自然のエネルギーをフル活用したというわけだ。
ただしまだまだ試験段階である。というのも、このディバイスでテストしたのは3種類のバクテリアのみであるのと、化学物質などの除去はできないとされているからである。しかし今後の実用化によっては世界中の水があっても飲めない場所に住む人にとっては希望となりうるのは確かだ。
記事参照元 http://newatlas.com/molybdenum-disulfide-water-treatment/44906/