今から6年前の2011年、 ノースカロライナ州立大学の研究チームは赤外光をあてることでシンプルな3D物体を自力で折って作り出す2Dテンプレートを開発しました。2Dテンプレートの黒いインクで引かれた線に光があたると線が縮み、テンプレートを折り曲げて物体を作り出す仕組みです。折り曲げる角度は線の太さによってコントロールされており、画期的な技術の誕生と称されました。
その後、同技術はさらに進化をとげ、今度はより高度な3D物体を自力で作ることができるようになり、大きな話題となっています。
光と線のカラーバリエーションで難易度が高い立体作成が現実に
これまでは、例えば折り紙の箱やピラミッドなどといった簡単な物体しか作ることができなかったのですが、今回発表されたより高度な技術では、折る順番が重要となる鶴などを自力で作成することができるようになりました。
この新しい技術でカギとなったのは、光と線の色です。カラーバリエーションをつけることで、2Dテンプレートを折り曲げるタイミングをコントロールできるというもの。
異なる色は、異なる光の波長を異なるスピードで吸収します。そのセオリーに基づいて2Dテンプレートに異なる色のインクで線を描き、異なる色の光をあてると、それぞれ異なる反応を示します。例えば、1本の線は青、そしてもう1本の線は黄色だとします。そこに青い光をあてると、黄色い線が反応を示し自力で折り曲がり、青いインクは青い光を吸収しないため無反応のままという結果に。
この技術は、単に折り紙をするために開発されたわけではありません。飲み込み式のロボットに採用することでロボットが体内に取り込まれてから開くことができ、ソーラーパネルに採用することで、使用時は性能を最大まで引き出せるようにフラットに広げることが、未使用時や運送時にはたたんでおくことができます。
まだまだ先の話かもしれませんが、組み立て式の家具などにもこの技術を応用することができそうですね。素晴らしい未来への一歩、いや、もっと先へと足を進めているこの無限の可能性を秘めた3D折り紙の技術。今後のさらなる進歩を期待したいですね。
参照元:New Atlas