先日、オーストリア・ウィーンのオークション会場がどよめきに包まれた。『ライカ M3D(Leica M3D)』なるカメラが219万ドル(約1億8000万円)で落札されたからだ。しかもスタートは20万ドル(約1600万円)だった。しかしながら、その価値を知っている人たちは驚かなかったに違いない。
ライカ M3Dは「Leica(ライカ)の限定モデル」「パブロ・ピカソを撮影したカメラ」として、大いに価値を高めることとなった。カメラに詳しくなくても、Leica(ライカ)というブランド名は、どこかで耳にしたことがあるはずだ。1955年生産のライカ M3Dは4台のみつくられた。ライカの歴史の中でも伝説的なカメラの製作を依頼したのは、デビッド・ダグラス・ダンカン(96歳)という写真家だった。
20世紀を代表するフォトグラファーのデビッド・ダグラス・ダンカンは太平洋戦争の沖縄戦や朝鮮戦争の戦場写真で大きな注目を集めた。そして1973年に死去したピカソと親交から撮影した写真でも知られている。現在はピカソが亡くなった場所から程近いフランス南東部で暮らしているそうで、偉大な芸術家同士の親密さがうかがえる。
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