4年前のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会でのギリシャは、グループリーグ(GL)初戦・韓国戦を落としたことが響き、初の決勝トーナメント進出は実現しなかった。
とはいえ、南アフリカ大会後に就任したサントス監督の下、2年前の欧州選手権(EURO)は準々決勝進出を果たし、優勝候補のドイツに善戦する戦いを披露。その勢いをW杯ブラジル大会の欧州予選につなげ、プレーオフでルーマニアを破り、2大会連続3回目のW杯出場を決めた。
W杯予選で喫した失点から浮かび上がる「堅守」。
ギリシャは11年11月から14年3月までの25試合で、敗戦を喫したのは5試合のみ。安定感を支えているのは、10年前のEURO制覇以来、脈々と受け継がれている「堅守のDNA」だ。
今回のW杯予選とプレーオフの12試合で食らった失点は6に過ぎない。しかも、すべてがPKやオウンゴール、フリーキックやコーナーキックからで、守備組織を完全に崩されてゴールネットを揺らされたのは一度もない。
ポルトガル人のサントス監督は、経験豊富な選手を中心としたチームづくりを徹底。MFカラグーニスやMFカツラニスは10年前の栄光を知る選手。FWサマラスはセルティック(スコットランド)、DFパパスタソプーロスはドルトムント(ドイツ)で活躍中。
一方、若い世代でレギュラーに定着しているFWミトログルは左足の繊細なタッチから放つシュートが脅威。ミトログルとカラグーニスはフルハム(イングランド)で2部降格を味わったばかり。前者は負傷明け、後者はベンチ外を強いられている。ブラジルで鬱憤を晴らせるか。
ユナイテッドを撃破した国内組も侮れない。
イングランドやドイツに比べると、ギリシャリーグのレベルは高くない。しかし、王者オリンピアコスは、13-14シーズンの欧州チャンピオンズリーグで、名門マンチェスター・ユナイテッドに勝利している。
代表でも左サイドバックを務めるDFホレバスは、確かな技術を有するレフティーで、流れの中でのラストパスやセットプレーは要警戒と言えるだろう。
国内組のベテランであるFWサルピンギディス(PAOK)は、ダイナミックなプレーと勝負強さが持ち味。W杯欧州予選プレーオフで勝ち越しのゴール、EURO2012でも2試合でゴールを記録している。起用すれば一定数のゴールとアシストを保証してくれるサルピンギディス、そしてサマラスの両ウイングが繰り出すサイド攻撃は迫力十分だ。
サプライズの欧州制覇から10年、受け継がれる魂。
ギリシャは、ポルトガル、ナイジェリア、ボリビアとの強化試合を経て、6月20日7時(日本時間)、GL第2戦の日本戦を迎える。国際サッカー連盟(FIFA)公式サイトでのインタビューからは、サルピンギディスが現チームに自信を抱いている様子が伝わってくる。
10年前の欧州制覇の際、ギリシャは「不可能などない」と世界中に証明した。その魂は脈々と受け継がれているはずで、日本にとっては侮れない。