自動車が本当の意味で「自動」車になる日は意外と近いかもしれない。最近の自動ブレーキシステムやレーンキープシステム、高機能クルーズコントロールシステムなどが次々と実現されていく様を見れば、そう考えない方がむしろおかしいとすら思える。
「自動」車なら事故は9割も減らせる
米国コンサルタント会社マッキンゼーの試算によると自動運転可能な車が普及した場合、現在起きている事故の9割は削減できるとのことだ。
もしこの数値が確かなものとなれば、年間で約23兆円もの損害・医療コストが削減できる。もちろん人命も救われ、人々が悲劇に見舞われる可能性も大幅に減る。マッキンゼーの予測では2030年前後には自動運転車が大量に普及し始めるだろうとのことだ。
自動運転車の開発には既存自動車メーカーだけでなくIT産業との協力が不可欠だ。GoogleやApple、タクシー配車アプリで一躍有名となったウーバーなどが自動運転車に大きな関心を寄せている。
まだまだ問題は山積しているが・・・
アメリカの道路安全保険協会の発表によると、自動ブレーキシステムを搭載した自動車が衝突事故を起こした場合、その被害は非搭載車と比較してはるかに小さいものであった。このような技術が普及し、進化することによって自動運転車の実用化はますます近づいていくのではないだろうか。
しかし2030年には大量普及という上述のマッキンゼーの予測は甘すぎるという声も多い。振り返ってみれば丁度2000年ごろ、多くの調査会社や自動車メーカーは2020年までには自動車の燃料は水素が一般的なものになるだろうと予測していた。
ところが実際はどうだろう。現在2015年。果たしてあと5年で水素燃料自動車がどこまで普及するかは甚だ怪しい状況である。
ミシガン大学のライアン・ユースティス教授は自動運転車に関する様々なアイディアはやや過剰に評価されているようだと話す。
同教授はビデオゲームの技術を利用して車両誘導に必要となる装置の開発・研究を行っているが、自動運転車がダイナミックな環境(様々な悪天候や未舗装道路、幹線道路以外の細い道など)に対応できるようになるには、まだかなりの時間を要するだろうとのことだ。
完全な自動運転車を利用する人は平均して1日50分も別のことに時間を使えるようになるという。「車を運転する」という行為は人によっては人生の中でかなり大きな割合を占めている。その作業から解放されるとしたら・・・自由を得ると共に職を失う人も大量発生するかもね。