ご存知のとおり、都市部には有効に活用することのできる土地が非常に少ない。家を建てるにしても、庭付き一戸建てなどというのは、夢のまた夢。どうしたって、棒のように突き刺さった集合住居にならざるを得ない。環境問題だなんだと大騒ぎしながら、緑地化が進められてはいるが、木を植えるところがそもそも無いのだ。緑豊かな都心というのは、実現難しい話しに思えてしまう。
ところが、そんな消極的な現実問題を、明るくしてくれそうな話題がこのたび発表された。それは、イタリアの建築家Stefano Boeri の提案する「Bosco Verticale」だ。このBosco Verticaleとは、どういうものなのかというと、「横に木植えられないんだったら、縦にすれば、いんぢゃね?」というものだ。実際の例でいうと、まず100m級の集合住居を建設する。そして、その建物の4方すべてを、緑で覆ってしまうということだ。植樹につかう種類も、横に成長するものではなくて、縦に伸びていくものを植えていく。そうすることによって、その建物は、1万平方メートル(100m×100m)の森を所有しているのと同等ということになるのだそうだ。
また、このようにして建てられた集合住居は、この緑から受けることのできるメリットが多い。まず、空気の清浄化。木が二酸化炭素を吸収して、酸素を排出するのは周知のこと。生い茂った葉は、都会の騒音からの解放にも一役買ってくれる。さらに覆われた木々によって、その建物自身が守られるという利点もある。 発電は当然、太陽光発電。生活排水は、木々にやる水として利用が可能。できるかぎり自給自足のエネルギーサイクルを形成することができる。これが、Bosco Verticaleなのだ。
さらに、「マンションには、地面がないから嫌いだ」と言う人にも、自分だけの庭がちゃんと備えついているのだから、納得だろう。このBosco Verticaleの建設費用は、日本円にして約60億円。今後の地球環境を慮るなら、この計画はすぐにでも実行してもらいたい。