この写真を見て、エアコン室外機や車のエンジンルームにあるラジエーターと間違えるのも無理はない。 なんとCPUクーラー「CNPS12X」である。120mmの冷却ファンが3つ付いており、驚くべきことにTDP350W以上のCPUに対応する。 現在、その様な熱量のCPUは世の中に存在しない。せいぜい130Wである。その約3倍の熱量に対応しているということである。
CPUのオーバークロックをすれば、熱は当然多くなる。そうなのである、オーバークロック用と言ってもいいのである。オーバークロックと聞いて何を思うだろう?マニアだと思うだろうか?確かにコアなマニア向け製品であることは間違いない。しかし、このようなマニア向け製品にも、まるで工芸品のような美しい部品が存在するのである。
オーバークロックを趣味にしている層は特段のこだわりがあると思う。水冷もいいが、やはりCPUクーラーは空冷にこだわりたい。重要な点は使用しているファン、ヒートパイプ、ヒートシンク。CNPS12Xはこのどれも究極にまで性能をアップさせている。6本の極太のヒートパイプはCPUと直接に接触し、熱を効率的にヒートシンクに伝える。ヒートパイプはまるで天に向かってそびえる摩天楼のように、接触面からヒートシンク上端部までそびえたつ。円周上に規則正しく配置されたヒートシンクを貫いている。表面に施されたニッケルめっきにより、腐食防止としているが、そのめっきが単なるパソコン部品とは思えず、美しく仕上げられている。芸術的と言っても過言ではない。
ここまで大型、かつ細部にまでこだわって美しく仕上げられたCPUクーラーはあっただろうか? 偉大な大工は見えない所にへたな木材を使うことはしないと言うが、パソコン内部で目には見えない部分を冷却するための部品にも美しさへのこだわりがあってもいい。青色LEDを点灯させると幻想的で、単なるCPUクーラーとは思えなくなる。 このような美しく、強力なCPUクーラーでパソコンを自作してみるのもマニアではなくても楽しそうである。