アメリカ国内のエナジードリンク摂取量は年々増えつつありますが、それに伴ってカフェイン中毒や糖分の過剰摂取などといった様々な問題も発生しています。各社が消費者にアピールするのは「疲労回復」や「栄養補給」といった利点ばかりで、エナジードリンクの過剰摂取によって引き起こされる問題についてはふれていません。
先頃発表されたフロリダ大学の調査結果によると、エナジードリンクの過剰摂取は急性肝炎を誘発するということが分かりました。
元凶はビタミンB3
あるアメリカ人男性は、多忙な日々を送っていたため、疲労回復と体力維持のために3週間にわたり多くのエナジードリンクを摂取していたそうです。そしてある日から腹痛や、吐き気、そして極度の眠気に襲われるようになったのだとか。最初は風邪の症状だろうと軽く考えていたそうですが、尿の色が以上に濃いこと、また黄疸の症状に気づいたのです。
医師は彼が急性肝炎だと告げ、精密検査を行ったところ、過剰な量のビタミンB3が彼の体内から発見されたそうです。ビタミンB3は別名ナイアシンと言い、体が必要とする成分のため欠乏すると口内炎や皮膚炎などといった症状が発生しますが、過剰に摂取しても逆効果となる成分です。
血行を良くして心臓疾患を防止するといった役割を果たすビタミンB3は、炭水化物を私たちが生活をしていくうえで燃料となるグルコース(ブドウ糖)に変えます。ですが、お酒や運動同様、ナイアシンの摂取もほどほどに、が一番というわけです。
1日500ミリグラムのナイアシン摂取で危険レベル!
毎日エナジードリンクを飲む人はビタミンB3(ナイアシン)の量をしっかりと確認しましょう。1日500ミリグラムの摂取で危険とされるレベルだそうです。医師は、1日たったの100ミリグラムしかビタミンB3を摂取しない人でも、定期的な肝機能検査を行うよう促しています。
2011年にも、毎日10缶ものエナジードリンクを飲んでいた22歳の女性がエナジードリンクの過剰摂取による急性肝炎で亡くなった初のケースが確認されています。またアメリカでは、ダイエットサプリやエナジードリンクなどを誤って摂取したことで緊急治療室での治療が必要となるケースが年間2万3,000件以上も発生しているそうです。
ナイアシンの過剰摂取のみが肝炎の原因とは断定はできないものの、エナジードリンク関連の事象は増えており、エナジードリンクに含まれるその他の成分・原材料とナイアシンの相互作用も十分考えられます。医師や専門家による特別なアドバイスなどなく簡単に手に入れることができる市販のエナジードリンクやサプリメントの類は、成分・原材料を自分の目で確認してから購入・摂取したいものです。
参照元:Discover