海外旅行が趣味の人なら、これまでの旅の記録として、世界地図と現地で撮った写真を部屋の壁に貼るという発想を気に入るはず。ポルトガル発、静電気で壁にくっつく世界地図『Funstatic』の先行販売プロジェクトが今秋、米クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で立ち上がりました。
帯電体の接近で発生する現象を利用。
『Funstatic』の仕組みを簡単に説明します。大陸ごとに分かれている世界地図は革新的な帯電フィルムの上にプリントされています。シートから剥がしたフィルムを平らな壁に近づけると、フィルムの電荷(負の電荷)と異なる電荷(正の電荷)が壁に発生します。正電荷と負電荷の間には引き合う静電気力がはたらくため、世界地図は釘や粘着テープを使わなくても壁にくっつくのです。
帯電加工された世界地図と海外旅行先で撮った写真を壁に貼ると、「これまでに世界のどこを訪れたか」「現地で何をしたか」「思い出の写真が少ない地域=まだ訪れていない地域はどこか」が一目瞭然になります。パスポートにさまざまな国のスタンプが押されている人には興味深い商品と言えるでしょう。
地図が壁にくっつく時間には限りがある。
世界地図と海外旅行先での写真を壁に傷をつけることなく貼れる『Funstatic』のアイデアは魅力的ですが、一方で課題もあります。その証として、先行販売プロジェクトの調達額は10月下旬現在、目標額の5割に留まっています。課題の一つが写真の帯電加工。プロジェクトに画像を送り、画像の現像・加工を発注しなければならないのはバッカー(支援者)にとっては少々面倒。
より重大な課題は世界地図が静電気で壁にくっつく時間に限りがあることです。「室内が乾燥している」など複数の条件が揃えば、数カ月~数年は持つとのことですが、「もっと持たないか」と不満に思う人もいるはず。再び帯電させる方法も文章で記されていますが、説明動画の不足は気になるところ。果たして先行販売プロジェクトは成立するのでしょうか。