「読書の秋」とよく言いますが、外に出るのがおっくうな「読書の冬」の方がしっくりくるかもしれません。そこで今回はライターお薦めの一冊、読者の方が多くを得られる一冊を取り上げます。「一流(はじめりゅう)」。Jリーグ・サンフレッチェ広島監督の森保一氏が監督1年目の昨シーズン、下馬評の低かった地方クラブをJ1初優勝に導いたシーズンの歩みを綴った本です。
サッカーに興味の無い人でも、一流から得られるモノ。例えば、偉大な前任者と自らのやり方をどうやって融合し、優勝という結果を出せたのか。地方の小クラブが成功する為に重要とみなす伝統とは何か。そうした疑問に対する、森保氏なりの答えが記されており、きっと学校や職場で応用できるはずです。
上司と部下の関係に悩んでいる方は、温厚な人柄で知られる森保氏の姿勢が参考になるでしょう。選手について「誰も見きったり干したりしたくない」とし、若手の育成法、職業=プロサッカー選手としての心構えが紹介されています。サンフレッチェは日本代表経験者を複数擁しているにも関わらず、本の中で具体的な選手名を挙げることがほぼ皆無。しかし、自身の右腕であるコーチへの言及が多いのは、いかにも森保氏らしいです。
サンフレッチェ広島というクラブは、観る者を魅了するパスサッカーを志向し、昨シーズンはJ1優勝を果たし、今シーズンも優勝争いに参戦しています。日本代表、あるいは海外のビッグクラブでプレーする日本人選手が注目されがちですが、より身近なJリーグ(J1・J2合わせて40クラブが存在)の一クラブを率いる日本人監督の言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょう。
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