他人を煙に巻くのが得意だという人がいる。議論をしてものらりくらりと追求をかわし巧みに問題の本質を突かせないのだ。彼らはとても嘘が上手い。あからさまに相手を騙そうとするのではなく、相手の想像力を利用し具体的な言葉を極力避けてしゃべる。
どうすれば彼らの嘘を捕まえることができるのだろうか。そのためのヒントが米国のある心理学情報サイトに掲載された。
「それ」「これ」「そんな」「こんな」
キーワードは限定詞。具体的には「それ」「これ」「そんな」「こんな」等が当てはまる。会話において自然に使われるこれらの言葉だが、実は嘘をついている人はこの限定詞を意識・無意識に関わらず多用する傾向が強いのだという。
例えば、あなたが何か問題点を追求したとしよう。その時「それは…」とか「この問題については…」などと相手が返答してきた場合は要注意だ。「それ以外のこと」「この問題以外については」何か後ろめたい事を隠している可能性が高いのである。
問題を限定しつつボカすことによって勝手にあなたの頭が納得しくれるよう彼らは巧みに促しているわけだ。
例えばあなたの息子が学校で悪さをして電話が掛かってきたとしよう。教師はこのように言っている。
「今日、息子さんが友達の太郎君の髪を両手で掴んでひきずり回したんです。太郎君は怪我をしてしまったんです。」
これを聞いたあなたは当然息子にお説教をするだろう。ところが息子はこう反論する。
「僕はそんなことしてないよ。先生は見間違えたんじゃないの?!」
事実はこうだった。息子は太郎君の髪を「片手で」掴んで引っ張っていた。息子の言った「そんなこと」とは髪を引っ張ったことではない。両手を使ったことに対してだったのである。
限定詞を使うことによって具体的で明確な反論を避けようとする相手は何かしらの嘘をついている。隠していることが全くないのであれば限定する必要など存在しないからだ。
「そんなことはしてないの。じゃあどんなことをしたの?」そう追求すれば息子は言い逃れできないだろう。「何もしてない」と答えればそれはあからさまな嘘であり、後に大きな怒りをかうことが分かっているからだ。
揚げ足取りじゃないよ
悪意のない嘘はどこにでも存在する。家電量販店で、住宅展示場で、職場に押しかけてきた保険のおばちゃんからも。彼らの言葉の中に限定詞を見つけてみよう。そして突っ込んでみよう。これは揚げ足取りでは決して無い。あなたが不利益を被らないために必要な防御テクニックである。
そんなことはないなら、どんなことがあるの?
それは大丈夫なら、何が大丈夫でないの?
不必要な想像力を働かせて相手の言葉を良い方向に解釈してはならない。細部まで具体的に突き詰めることによって本当に意味のある議論ができるのだ。
参照元:カラパイア