ダンヒル(dunhill:このスペルの方がお馴染みだろうか?)と聞いて、何を真っ先に思い浮かべるだろう。父親が使っていたちょっと細身のライター?それとも、四角い銀縁に「dunhill」と彫られたベルトだろうか? ダンヒルは、国内ではあまり知られていないもしれないが、じつは筆記具においても「知る人ぞ知る」なのだ。このブランドの歴史は意外や古く1800年代に創業し、以来ずっとコダワリの1本を造り続けている。じつは筆記具に、一番最初にカーボンファイバーを採用したのも、このブランド。
高級筆記具というのは、実用性の高さもさることながら、それらを手にした時の「自分がまるで高みの人間になったかのような、一種独特の高揚感と、その周りを包み込む雰囲気を丸ごと甘美する」という楽しみ方にある。「書く」という行為に至る部分までも楽しむ。だから、全部の動きに「わざわざ」が付く。わざわざキャップを開ける。わざわざ本体をツイストさせないと芯が出ない。万年筆にいたっては、わざわざインクを入れないと書くことすら出来ない。わざわざ両手を使う必要がある。これが高級筆記具なのだ。
この「ダンヒル・レボレット」も同様。このペンは言わば、2色ボールペン+シャープペンの多機能ペンというやつだ。本来ならペンの切り替えなどは簡単のはずなのだが、やはりこのダンヒル・レボレットにも、「わざわざ」が付く。ペンを切り替えたい時は、わざわざキャップ部を引き上げて、見えてきた溝に刻まれてある色を確認する。そして、ペンクリップの先端を、その溝に向けてからキャップを押し戻す。大急ぎで仕事をしなくてはならない時には、とんでもないロスになってしまうだろう。でもわかって欲しい。これが高級筆記具なのだ、と。なかなか手にする機会は多くないとは思うが、ぜひ1本はこういう「良い」ペンを所有してみてはいかがだろう。