「今、何時だろう」そう思った時に、スマホや腕時計を確認するのはもう当たり前のこと。 でも、何年も前は、時計はアナログだった。 私の祖母の家には、100年以上の歴史のある壁掛け時計がある。黒光りする立派な壁掛け時計にはぜんまいがついていて、必ず何日かに1度はぜんまいを巻かなければならない。 幼い頃はその金色の鍵のようにも見えるぜんまいに心惹かれ、抱っこしてもらって時計を巻いていた。 年をとった祖母は、腰が曲がり、背が届かなくなったためもうその時計を巻くことはなくなったが、時計だけは同じ場所にずっとある。 時間を知るためには、時計と向き合うことが必要だった昔と比べ、ちらっと見るだけになってしまった自分自身にどこか寂しさを感じないだろうか。
そんな思いを胸に、現代に生きるすべての人に向けて、新しいアナログ・デジタル時計「Rewind (リワインド)」を作った男がいた。 スイスのローザンヌ美術大学の学生、サグリオ氏だ。 彼は時間との対話を大切にするために、デジタルだがアナログの不思議な時計を思いついた。
タッチスクリーンを白い枠で囲ったような一見iPadにも見えるRewind (リワインド)は全部で3種類あり、それぞれにぜんまいの穴や、ひっぱるところや、横に回すダイヤルなどがついている。 ぜんまいを回したり、ワイヤーをひっぱらないかぎり画面には何も表示されないようになっているのだ。
一旦、時計に向かい合い、ぜんまいをまわすなどの作業をすれば白いアニメーションが画面に湧き出てきて、さまざまなユニークな動きをした後、時間が表示されるようになっている。 アニメーションが始まってから、時刻が表示できるまでの時間は調節できるそうだ。
時計と向き合うことは、時間と向き合うこと。時刻を知るために時間をかけることで、改めて時間の大切さがわかるとサグリオ氏は語る。 こんな美しくて、素敵な時計を手に入れたら、確かに時間に対する考え方が変わるかもしれない。 カップルや夫婦、家族でのんびり過ごす時間を大切にしたい人には、最高の品なのではないだろうか。 Rewind (リワインド)はプレゼントにしてもきっと喜ばれるだろう。