2014年、小惑星カリクローで小惑星としては初の環が発見された。そして今度は同じく小惑星のキロンで環のようなものが発見されたと話題になっている。
2014年まで小惑星に環は存在しないとされていた
キロンは木星と天王星の間の軌道上にある1977年に発見された小惑星で、キロンの名はギリシャ神話で有名なケンタウロスのケイローンに由来する。ケンタウロスが半分人間で半分獣であるように、キロンも小惑星とも彗星とも考えられるとされ、小惑星・彗星の両方に登録されている。
そんなキロンの周りに土星にあるような環と思われるものを発見したとマサチューセッツ工科大学の天文学者らは発表した。2014年に小惑星カリクローで環が発見された際には世の天文学者らは大きな衝撃を受けた。同惑星は、独自のリング状の構造を作り出す重力を持つには小さすぎるからだ。
ハワイにある赤外線望遠鏡装置を備えたNASA Infrared Telescope FacilityとLas Cunbres Observatory Global Telescope Networkの天文観測所2ヶ所でキロンの掩蔽観測は実施された。
掩蔽とは、惑星が恒星などを隠したりする現象のことだが、キロンの掩蔽観測ではキロンがあまりにも小さいことからまばたきなどしようものなら掩蔽の瞬間を見逃してしまう恐れがある。
十分な輝度をもった恒星の前をキロンが横切るのを待たなければならない。忍耐力と運をも必要とする観測作業だ。
2連の環の存在が明らかに
同チームが収集したデータはものの数分で十分ではないと思われたが、分析結果としてキロンから300キロメートルの位置に幅およそ3キロメートルと幅およそ7キロメートルの2つの環とみられるものが検知された。塵やガスが恒星からの光を遮断していることを裏付けるものだとされている。
同チームは、今の段階ではキロンの周りに環が実在すると断言することはできないとしており、他にもガスや塵のジェット噴出などが考えられるそうだ。今後も引き続きキロンの掩蔽観測を行う必要があるという。
今回のようなデータは通常検知されるものではなく、天文学者らを驚かせたことは事実だ。今後キロンの環が事実として確認されるかもしれない。
そして小惑星に存在する環は実はありふれた構造だということも分かるかもしれない。いずれにしてもまだまだ未知の宇宙、何らかの新たな発見がそこにはあるはずだ。
参照元:gizmag