いい歳こいて人前で泣くのはみっともない。確かにそのとおりだ。大の大人がたいしたこともないのに涙を流していたら周りがビックリする。だが、ちょっとしたきっかけで鼻の奥がツンとしてしまう人というのは意外と多いのだ。
このような「非常に敏感な人たち」はその英訳頭文字を取って「Highly Sensitive Person=HSP」と呼ばれる。
いつもティッシュは手放せないという人も
HSPに属する人々は「体験」に対してHSPでない人と比べると強く精神的に反応する。これはポジティブな内容であってもネガティブな内容であってもそれぞれ徹底的に脳が処理しようとすることによって生まれる。そのためHSPの人々は精神的な刺激要因に圧倒されやすいのだ。
HSPの人々は味覚、触覚、嗅覚、聴覚のいずれにおいても鋭い感覚を持っている。また感情に関しては特にそうで、自分の感情だけでなく他人の感情の変化にも敏感に反応する。
だから他人に起こったニュースでもまるで自分の事のように共感してしまうし、涙も流してしまう。HSPのある40代男性は常にティッシュを持ち歩かなければまともに生活できないという。
HSPは病気でも障害でもない
ある研究によるとHSPに属する人の割合は全体の20%程だという。HSPは病気でもなければ障害でもない。生まれつきの「特徴」である。そのため訓練すればある程度自分でコントロール出来るようにはなるが、基本的にはその人の永続的な個性と言える。
現在心理学の分野ではこのHSPに対する関心が非常に高まっている。HSPの人々は特定の分野においてそうでない人よりも深い認知処理を行うことが可能との研究結果も報告されているのだ。
涙もろいことは何も恥ずかしいことではない。それにもしあなたが人間関係や人とのコミュニケーションのことで悩んでいるのなら、是非HSP(であると思われる人)に相談してみよう。彼らはきっと親身になって悩みに答えてくれるだろう。