夏といえば小麦色の肌。とっても健康的に見えるがその裏には皮膚がんに関する高いリスクが存在する。米疾病対策センター(CDC)によれば、がんの中で最も罹患率が高いのが皮膚がんであり、その主な原因は紫外線への露出であるという。つまり日焼けはがん患者への最も危険な近道というわけだ。
そんな中、紫外線を含む太陽光を防ぐための画期的な新素材が開発された。その素となっているのは魚の体表を守っている「マイコスポリン」という有機化合物である。
日焼け止め業界に革命が起きるか
マイコスポリンは魚が強い太陽の紫外線から己の体を守るために体内から分泌している物質である。研究者のビンセント・ブローン氏らはこのマイスコスポリンをキトサンと結合させることに成功しており、これによって製品化への道筋が一気に開かれた。
現在世界中で使われている日焼け止め製品の中には環境や人体にあまり優しくない物も多く存在しており、そのような現状をマイコスポリンは一気に打破する可能性を秘めている。
人間以外にも適用可能
新素材による恩恵を受けることができるのは人間だけではない。長時間日光が当たり、それによって性能や品質が劣化する製品、例えば屋外に置かれる家具や設備、自動車の車内用品などにも応用が利く。
ブローン氏によると、新素材によってもたらされる紫外線からの防御力は現在市場に流通する全ての製品の能力を凌駕するという。
今のところ透明フィルムによる実験で安全性や性能の安定性に関するテストが行われている段階だが、いずれこの魚由来の日焼け止めクリームによって、より安全な夏を過ごせる日がやってくるのだろう。
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